イ・サン

韓国の人たちにも人気のある王様の一人、正祖の人生を描いた大河ドラマです。正祖は、朝鮮の近代化を進めようとした名君としての誉れ高い王様です。なかなかハードな人生を送ったとされ、一説によると毒殺されたともいいます。「大長今」のイ ビョンホン監督の歴史ドラマなので、ハラハラさせたり、大どんでん返しでスカッとしたりと、それなりに面白い作品です。

イ ソジンさんという実力派のイケメンさんが主演なのですが、どっかのうがい薬みたいな名前に最初は笑いましたね。でも、笑顔がとっても素敵な俳優さんで、この作品でファンになってしまいました。個人的には、「階伯（ケベク）」よりこっちのほうが好きですね。

この作品で注目されたのが、「朝鮮王朝儀軌」という文書です。ドラマで、この「儀軌」の作成に携わっていた役所が描かれたことにより、「儀軌」にも注目が集まりました。「儀軌」は、国家や王室の諸行事を緻密な絵と文章で記録したものです。行事の内容はもちろんのこと、準備段階のことから、人員の配置や費用のことまで事細かに記録された貴重な文化財です。

この文書は、複数の複製が作られ保管されていましたが、19世紀の開国以降、フランスや日本に略奪され韓国国内にはほとんど残っていません。長い間、韓国はフランスと日本に対して、返還を要求していました。これをうけて日本のものは、2011年10月、当時の野田佳彦首相と李明博大統領との日韓首脳会談時に返還されました。フランスのものは、現在「貸与」という形で韓国に戻っています。2007年には、ユネスコの記録遺産として登録されました。