李氏朝鮮

ポンダンポンダン 王様の恋

 

こんな作品です

韓ドラ時代劇初心者にお勧めのゆるいドラマ

管理人 木槿猫

第4代王世宗自身、非常にドラマチックな王様なので、彼を主人公にしたり、彼の時代を描いたりするドラマは、ハズレというものがありません。この作品は、そんな世宗とタイムスリップした女子高生とのラブストーリーです。時代考証もなにもすっ飛ばした非常に軽いノリでありながら、見せ場もしっかりあるので面白いと思います。しかも、1話が15分程度でかつ10話と短いので、気軽に一気に見られるのも◎。韓ドラは好きだけど時代劇はちょっと……という人にもお勧めです。

世宗は、ハングル(訓民正音)を作ったり、さまざまな学問を奨励して国内の文化の発展に大いに力を尽くした王様ですが、そうした要素もしっかりと盛り込みつつ、おちゃめなシーンも描かれていますから、これを機会に世宗に興味を持つこともできるかもしれませんね。ネタバレになるので書きませんが、最後にはユニークなオチもついています。ちなみに、「ポンダン(퐁당)」というカワイイ言葉は、韓国語で水音を表現するときに使うオノマトペで、日本語の「ぽちゃん」なんだそうです。なんだか、似てますね。

史実のポイント

朝鮮の三楽聖のひとり 朴堧(パク・ヨン)

内容の難易度

世宗時代を代表する学者といえば、蔣英実(チャン・ヨンシル)。奴婢でありながら官僚にまで上り詰めた人物ですが、世宗時代には、もう一人注目すべき学者がいます。それが、「朴堧(パク・ヨン)」です。

彼は、吏曹判書の息子として生まれ、科挙に合格した後、司憲府に配置されました。やがて、音楽の才能を認められて世宗の目に留まったようです。

朝鮮は「儒教」を基盤に社会を築いた国ですが、儒教では、特に「礼と楽」が重視されます。ですから、儒教的な儀礼等においては、音楽は非常に重要な要素でもあったわけです。したがって、世宗も音楽には強い関心を抱いていました。そんな世宗の意志を実現させたのが、朴堧(パク・ヨン)です。

彼は、中国の古典から参考資料を収集し、それまでばらばらだった朝鮮音楽の体系を整理しました。楽譜の編纂、古典楽器の復元や修復を行い、新羅時代から伝えられてきた郷楽、唐楽(中国の唐の時代の音楽)、宋から伝わった雅楽など、当時ごちゃまぜになっていた音楽の律調を整理します。さらに、それまで輸入に頼っていた編鐘(さまざまな楽器の音律を調整するための鐘など)などを国内でも作れるようにし、楽器の音を正確に調律することにより、139の楽器を美しく合奏させることもできるようにしました。

彼の一番の功績は、雅楽の整理過程で雅楽と郷学との調和した結合も試みたことでしょう。朴堧(パク・ヨン)自身は、中国の音楽に固執していたようですが、世宗は朝鮮の独創性を強調し、郷楽の研究を彼に命じます。その結果、朝鮮の音楽体系が整理され、やがて宮中でも中国の音楽ではなく、朝鮮の音楽を使うようになったのだそうです。こうして、朝鮮の民俗音楽の基礎が築かれたといわれます。ドラマでは、宮中で音楽が披露されるシーンがたびたび登場しますが、ああしたシーンが描けるのも、実は彼のおかげ、ということですね。

晩年、彼は官職を辞すと故郷に帰り、死ぬまで郷楽の発展に没頭したと伝えられています。

朝鮮の歴史上では非常に有名な人のようですが、ドラマに取り上げられたことはないように見受けられます。私も、この作品で初めて彼を知りました。もっとも、日本でも八橋検校とか、世阿弥とかはドラマには出てきませんもんね。

基本情報

■全10話(配信サイトにより異なります)

■制作 MBC

キム・スルギ/ユン・ドゥジュン/チン・ギジュ/アン・ヒョソプ

 

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