李氏朝鮮

根の深い木

 

こんな作品です

ハングルが生まれるまでの物語

管理人 木槿猫

世宗といえば、韓国でもっとも人気ある王様として有名です。10,000ウォンのお札の人で、景福宮の光化門の前にでーんと座っている人です。テレビによく出てきますよね。

さて、彼がなぜこんなに人気なのかというと、朝鮮の人々の生活や文化に大きな福音をもたらす革新的な政治をおこなったからなんですね。王様だった当時は、あんまり評価されなかったみたいですが、後世になってぐんぐんその評価が上がっていきました。その頂点にある業績は、やはり「訓民正音」つまりハングルを作ったこと。

漢字を知らない庶民にも読み書きをという意欲もさることながら、「朝鮮の音」は漢字では表現できない!ということに立ち向かったことを私も尊敬しています。自国の言葉に誇りをもつという意識を、最初に国民に植え付けた王様なんじゃないでしょうか。このドラマは、そのハングルが生まれるまでの物語です。

訓民正音が発表される直前の7日間に、景福宮でハングル制作に関わった学者たちの連続殺人事件がおきます。ハングルの制作を妨害しようとする者、守ろうとする者との争いをちょっぴりミステリータッチで描いた作品です。韓ドラのファンじゃない人にもお勧めしたいですね。ちなみに、これを見た後には「六龍が飛ぶ」をどうぞ。

史実のポイント

ハングルのしくみ

内容の難易度

李氏朝鮮は、儒教を政治や社会の理想的な姿ととらえました。特に身分の秩序を重んじる朱子学を重視していましたので、誰もが読み書きできる世の中など必要ではなかったわけです。文字が読めるということは、情報を共有できるようになるということですから、支配者にとっては危険なことでもあるわけですよね。また尊いのは「漢字」で、それを使えることこそが支配階級だったわけです。当時は、独自の文字を持ち、それを使う民族を蔑視していました(もちろん、そのなかには日本も含まれる)。民族独自の文字を作るなどということは、そんな社会に真っ向から対決を挑むことになるわけです。それを断行した世宗ですから、ソウルのど真ん中に座っているのもうなづけますね。

ところでハングルは、「〇」「|」「ー」との組み合わせなので、まるで暗号のようにも見えます。面白い文字だなあと常々思っていましたが、勉強してみてとっても機能的な文字だということがわかりました。

韓国語には母音が21個もあります。日本語が5つしかないのと比べると、なんだか発音をマスターするだけでも大変そうだなあと思ったのですが、あんまり使われていなかったり、同じような音で2種類あっても、ほとんど区別していなかったりすることもあるそうなので、苦労が少し軽くなった気分。

ハングルという文字は、さまざまな国の言語を研究して作られました。世宗が王様業をやりながら研究したというのだからすごい人ですね。

ハングルは表音文字です。つまり、日本でいうところの「かな」と同じ役割というわけです。漢字のように文字そのものに「意味」はありません。表すのは、「音」だけです。ただ、日本の「かな」のように、一文字1音ではなく、2音以上の音を表すことができるというところがスゴイ。

たとえば、「韓国」は、日本語のかなでは、「か」「ん」「こ」「く」と4文字で表記します。ハングルでは、「한」「국」となり、漢字と同じように2文字で表記することができるんですね。日本の「かな」と同じように音だけを現す文字ですが、「かな」にはない効率の良さがあるのが、ハングルなのです。だれでもすぐに覚えられる。そんなすごい文字だということもドラマを見ているとわかってきますよ。

基本情報

■ 全24話

■ 制作 SBS

ハン・ソッキュ/チャン・ヒョク/シン・セギョン/ソン・ジュンギ

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