朝鮮半島の歴史入門

朝鮮半島の歴史は「虎」がタバコを吸っていたころから始まる

Contents

朝鮮半島の「むかしむかし、あるところに。」

朝鮮半島ではトラがたばこを吸う

「むかしむかし、」で始まるのが、日本の昔話。

韓国語でも、「昔々 옛날 옛날에(いぇんなる いぇんなれ)」で始まりますが、もう一つ面白い表現があります。それが、「虎がタバコを吸っていたころ 호랑이 담배 먹을 적에(ほらんい たむべ もぐる ちょげ)」です。

どれだけ歴史をさかのぼろうが、虎はタバコを吸わないだろう、などと言っては無粋というもの。虎は東アジアでは広く霊獣と考えられています。だからきっと、タバコも吸っちゃうんですよ。ようは、ありえないことが起こってしまうくらい、はるか遠い昔という意味らしいです。

虎に食べさせてしまうぞ!

このセリフ、時代劇にわりとよく出てきます。もっとも、「日本語」の訳で見ただけですが、一応「호랑(虎)」は聞き取れたので間違いないはず(ドラマで覚えた韓国語♪)。チャングムも言われていましたし、トンイも息子をこれで叱っていましたよね。なんだかんだで、子どものわがままを叱るときによく出てきます。秀吉の朝鮮出兵の時には、「加藤清正の虎退治」の逸話があるくらいですから、朝鮮半島には虎がたくさんいたんでしょう。

山道を歩いていたら、虎が出てきた!

なんて言ったら相当怖いだろうなと思うのですが……。朝鮮半島の人たちには、それでも虎は身近な動物なんですね(あまり身近にいてほしくないですけど)でも、虎がタバコを吸っている姿を想像すると、ちょっとカワイイかもと思ってしまいます。

朝鮮半島の先史時代

朝鮮半島の旧石器時代

その後、トラが禁煙したかどうかはともかく。朝鮮半島の史実を紐解いてみましょう。

石器時代

日本にも旧石器時代がありますので、朝鮮半島にも当然のことながら旧石器時代はあったはず、と思っていたら、旧石器時代の研究が本格的になったのは、20世紀の後半からなんだそうです。もっとも、日本も旧石器時代の研究が本格的になったのは戦後の話なので、同じようなものですが。

ちなみに、旧石器時代というのは、「打製石器」を使っていた時代ですね。日本でいうと、縄文時代よりはるか前のことです。日本では、群馬県の「岩宿遺跡」が有名。相沢 忠洋(あいざわ ただひろ)が、納豆売りの行商をしながら独学で考古学研究を進め発見した、という話が教科書に載っていましたね。石と石とをぶつけて作っただけの、道具としてはまだ洗練されていないのが打製石器です。

朝鮮半島の旧石器時代には、「火」の使用が明らかになった北京原人の系統をひく人たちも、朝鮮半島に移り住んでいたとみられています。また、そのころは氷河期でしたから、朝鮮半島と日本列島は陸続きです。きっと、朝鮮半島から日本にわたってきた人たちもたくさんいたんでしょうね。

朝鮮半島の新石器時代

明確にいつからということがいえるわけではないものの、今から約1万年前くらいには朝鮮半島でも新石器時代が始まっていたと考えられます。これも、日本とほぼ同じ時期です。日本ではいわゆる縄文時代が始まります。

氷河期が終わって、朝鮮半島と日本列島は海で切り離されることになりました。日本海に暖流が流れ込んだことによって、朝鮮半島や日本の気候は大きく変化したと言われています。日本でも朝鮮半島でも、旧石器時代から新石器時代へ移行すると、土器や青銅器なども使用されるようになってきます。もちろん、水田耕作も始まります。陸続きで近くに「中国」があったというのは、朝鮮半島の人々にとっては大きなメリットだったでしょうね。

ところで、この時代にたくさん作られたのが「支石墓(dolmenドルメン)」というお墓です。貧富の差ができて、支配する者、される者とが明確に分かれていく時代でもありますので、権力をもった人たちが多くの人たちの労力を使ってお墓を作りました。

韓国の世界遺産 高敞・和順・江華の支石墓群

 

江華島の支石墓

【江華島の支石墓】Hairwizard91 から en.wikipedia.org, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

韓国には、世界でも有数の支石墓があります。なかでも、「高敞・和順・江華の支石墓群」は、韓国の世界遺産として登録されています。見ての通り、大きな石を積み木のように積み上げた形のお墓です。

なんだか、崩れてきそうでちょっとコワイ。

檀君神話と「太王四神記」

1200年代の後半に書かれた『三国遺事』という歴史書に収められている、朝鮮の神話です。ちょっと、『朝鮮史(山川出版)』から抜粋しますね。

中国の伝説上の聖天子堯の時代に、天帝の子桓雄(ファヌン)が地上世界を治めたいと、太伯山の神檀樹(しんだんじゅ)のもとに降下し、人々を教化した。

ん?

どっかで聞いたことがあるような。

そのころ人間になりたいという熊と虎がいて、

また虎がでてきた。

桓雄はその願いを聞いて物忌みさせたところ、虎は忌むことができず、熊だけが人間(女)になった。

虎、ダメじゃん。

我慢できずに、タバコ吸っちゃったんでしょうか。

子をほしがったが相手がいなかったので、桓雄が仮に人間の姿になって結婚し、生まれたのが檀君であった。

朝鮮史 (新版 世界各国史)

その檀君が平壌に都をおいて国を作ったのが、「朝鮮」というわけだそうです。

ここまで、読めばおそらく気が付く人も多いはず。日本でもけっこうブレイクした「太王四神記」ですよね。「広開土王」をモデルにしたファンタジーという認識だったので、そんな神話がもとになっているとは知りませんでした。ヨンさまファンの皆様には申し訳ありませんが、「神様(つまり桓雄)」役のヨンさま見たときには、私は爆笑してしまいました。なんか、あの白っぽい髪が「似合わないー!! ^o^」と思ったんですよね。もっとも、王様(広開土王)役はカツコよかったですが。久石譲氏の音楽もよかったですね。1枚は買っちゃいましたよ(さすがに2枚はいらない)。いまでも時々聞いてます。私は、けっこう好きなドラマです。

関連記事

-朝鮮半島の歴史入門
-,

Copyright© 韓国時代劇の王様たちとその時代 , 2024 All Rights Reserved.