歴史ドラマの中で、とかく「殿下~!」と連発される朝鮮の王様。500年の王朝の歴史のなかで、27人います。王として即位した人が25人、そして王にはなったものの、臣下のクーデターによって失脚させられた人が2人です。なお、それぞれ詳しい解説ページがあります(リンクしています)。そちらもぜひご覧くださいね。
朝鮮王朝の王様は、25+2 人
- 太祖(テジョ・李成桂 イ ソンゲ):高麗を倒して朝鮮王朝を建国した王様です。『大風水』でチ・ジニさんが演じた人です。『六龍が飛ぶ』では丁寧にその人柄が描かれていました。
- 定宗(チョンジョン):王位継承争いの渦中に即位したので、わずか2年で退位しました。だから、ドラマでもチョイ役。
- 太宗(テジョン):兄弟を殺して成り上がった王として有名。猛々しい王様として描かれることが多いですね。『大王世宗』『六龍が飛ぶ』など、たくさんのドラマにご出演。
- 世宗(セジョン):韓国でも最も人気のある王様で、ハングルを創るなど功績の高い名君として知られています。景福宮の前にでーんと座っている金ぴかの王様です。『大王世宗』『根の深い木』などにご出演。
- 文宗(ムンジョン):世子(世継ぎ)としての期間が長いのですが、在位はわずか2年。病弱だったといわれます。こちらもチョイ役。
- 端宗(タンジョン):11歳で即位。幼くして王様になったことが災いして、叔父さんに殺される悲劇に見舞われます。次の世祖が大物なので、しばしば子役で登場します。『王女の男』など多数。
- 世祖(セジョ):太宗と並ぶ猛々しいイメージの王様です。幼い甥を死に追いやっただけではなく、過激な粛清も行いました。『インス大妃』など、わりと長編大河ドラマにご出演。
- 睿宗(イェジョン):嫁姑戦争のなかで即位した王様。母親と兄嫁の激しい攻防のなか神経をすりへらしたのか、わずか即位後1年で逝去。チョイ役の王様。
- 成宗(ソンジョン):母親の執念で即位した王様。何かと、次の世の中に禍根を残した王様です。『王と私』など、わりと頻繁にご出演。
- 燕山君(ヨンサングン):父親の女性関係が災いして暴君になってしまった王様。映画『王の男』など、暴君ぶりが悲劇として描かれることも多いですね。クーデターで退位させられたので、王子として扱われています。ドラマよりもよく映画に出てくる王様です。
- 中宗(チュンジョン):クーデターによって担ぎ上げられた王様なので、生涯家臣に頭が上がらなかった王様です。あの『大長今』でおいしいものを食べ続けたのはこの人。政治的にはあまり実績のない王様ですが、その治世の間には黄真伊(ファン・ジニ)や申師任堂(シン・サイムダン)などのすぐれた文化人がたくさん現れました。
- 仁宗(インジョン):27人の王様のなかで一番治世が短かった王様です。在位わずか8ヶ月と15日。親孝行なことでも有名。チョイ役の王様です。『女人天下』以外、ほとんどお目にかかったことがないですね。
- 明宗(ミョンジョン):女傑といわれた母親に頭が上がらなかった王様です。在位は長いのですが、ドラマではほとんどお目にかかったことがないです。『オクニョ』でようやく日の目を見た感じですね。
- 宣祖(ソンジョ):13代の明宗に嫡子・嫡孫がなかったため、12代中宗の庶孫河城君が王になりました。「倭乱(豊臣秀吉の朝鮮出兵)」と呼ばれた事件が起こるのはこの王様のときです。
- 光海君(クァンヘグン):宣祖の庶子、しかも次男でありながら世子となったために、結局、「正当な王位継承者ではない」ということで、クーデターで退位させられてしまった気の毒な王様です。「火の女神ジョンイ」や「華政」など、ドラマにも多く描かれることが多いです。
- 仁祖(インジョ):クーデターで王位に着いたものの、「胡乱(清の侵攻)」によって屈辱を味わうことになった王様です。その屈辱にもんもんとした一生を送ったらしく、実の息子や孫まで手にかけてしまいます。この不安定な時代を扱ったドラマは、「推奴」「一枝梅」「花たちの戦い」「華政」など面白いものが多いですよ。
- 孝宗(ヒョジョン):兄の昭顕世子とともに、8年間清で人質生活を送り、その後王位につきます。父の仁祖の屈辱を晴らすために、「北伐」を企てたことでも知られます。ドラマにはあんまり出てこないかな。
- 顕宗(ヒョンジョン):日本や清の侵攻からようやく落ち着きを取り戻した時代を生きた王様ですが、お祖母ちゃんにあたる慈懿(チャウィ)大妃の「服喪期間」をめぐって非常にややこしい政治問題に巻き込まれます。「馬医」に登場した王様です。
- 粛宗(スクチョン):女性問題でもめた王様といえば、この人。でも政治的には、熾烈な党派争いのなかを生きた有能な王様です。もちろん、「トンイ」や「チャン・オクチョン」では、イケメンさんが演じてます。
- 景宗(キョンジョン):お母さんは、張禧嬪(チャン・ヒビン=チャン・オクチョン)。生母が父親によって殺され、さらに病弱の上、嫡子を残せず亡くなった悲運の王様です。
- 英祖(ヨンジョ):母親の身分が低いにもかかわらず王となり、長い治世を誇ることになる王様です。人材を広く登用した「蕩平政治」を行うなど名君として知られますが、息子の思悼(サド)世子を米びつに入れて殺してしまうという事件でも有名です。このあたりは「武士ペクドンス」がおススメです。
- 正祖(チョンジョ):「イ・サン」こと、正祖は、世宗に告ぐ人気を誇る名君です。とはいうものの、常に暗殺の危機に直面していたという気の毒な王様でもあります。実学を重んじ、朝鮮の近代化を進めようとした王様です。「成均館スキャンダル」など、どのドラマでも素敵な王様として描かれています。
- 純祖(スンジョ):正祖の死後、10歳で即位します。しかし、治世は曾祖母にあたる貞純(チョンスン)王后の垂簾聴政と安東・金氏の勢道政治によって混乱し、社会は疲弊していくこととなります。
- 憲宗(ホンジョン):純祖の孫で、7歳で即位。純祖の時代から続くカトリックへの弾圧などが、列強へ進出の口実を与えることとなります。22歳の短い生涯で、嫡子も残さずに逝去します。
- 哲宗(チョルチョン):反逆罪で配流となった王族の子として、細々と江華島で田畑を耕していましたが、王位が突然降って沸いたように転がり込んできた王様です。安東・金氏の勢道政治の前に成すすべなく、酒と女におぼれて32歳で亡くなります。「Dr.Jin」で、主人公ジン・ヒョクに看取られて亡くなるのはこの王様です。
- 高宗(コジョン):父親の興宣(フンソン)大院君は、安東・金氏の目を欺くために、ごろつき同然の生活をしながら、虎視眈々と王位を狙い、自分の息子を神貞(シンジョン)王后の養子に入れて即位させました。そのため、お父さんの大院君とか、妻の明聖皇后(閔妃)のほうが有名です。「明成皇后」や「朝鮮ガンマン」など、どちらかというといつも脇役です。
- 純宗(スンジョン):日本政府によって即位させられた朝鮮王朝最後の王です。在位期間中に、日本の侵略を受けて次第に主権を喪失、1910日韓併合によって李氏による王朝は幕を下ろしました。
韓国ドラマ時代劇を見る時には、実際にどんな王様だったのかを理解しておくとよりいっそうドラマを楽しめますよ。